生産から販売までを一貫する
私が塚田農場の主要食材である地鶏「みやざき地頭鶏」に初めて出会った時、その美味しさに驚き、この感動を世の中に届けたいと強く思いました。
しかし、蓋を開けてみると、問屋を挟んだ流通構造で価格が高くなり、市場にはなかなか出回らず、産地である宮崎県日南市も頭を抱えている状況でした。
この時、自分たちで生産から販売まで一貫して携わるビジネスモデルが、地域活性化につながり、生産者も消費者も我々も幸せになれる構造だと確信しました。
すぐに現地へ飛び、役所や生産者の方々に協力を依頼しましたが、はじめはノウハウも、土地も、資金もない状況だったので、もちろん簡単には信用してもらえません。
しかし、自分たちで自社養鶏小屋を作り、実際に育ててみるなど、時間をかけて熱い想いを伝え続けた結果、周辺の農家の方々と直接提携をすることができるようになりました。
我々が地鶏を販売することで、今では生産者の方々の安定供給につながり、消費者の皆さまにもお手頃な価格で提供することができています。
生産者直結が生み出す副次的効果
弊社の多くの社員が、こだわりの食材だけではなく、命のありがたさを学ぶため、日南市の自社養鶏場に行って、みやざき地頭鶏の飼育や下処理など、現地での研修を受けています。
雛が鶏肉になるまでの過程を知り、生きた鶏を一気に絞めて血抜きする光景を目の当たりにすることで、研修を受けた社員には「食材を無駄にせず、一番美味しい状態でお客様に食べていただこう」という意識が芽生えます。
また、生産者の方々にも、大事に育てた鶏がどのように食べられているか実際に店舗で見ていただくことで、より愛情を持って育てていただけるようになったとのことです。
これこそが食産業の本質であり、食のあるべき姿の一つではないでしょうか。
売上・利益だけではない。お客様のために、社会のために何ができ、何のために会社が存在しているのか。
これが欠けてしまうと、会社としての事業も個人としての仕事も長続きはしないと思っています。